切れ味鋭い「走り」とアピアランスを纏ったストリートファイター
往年のスタイルをオマージュしつつ新しさを備えた令和の刀を具現化。
ハイパワーなKATANA の運動性能を、国内外のトップレースで採用される製品技術でリファイン。
ボルトオンで装着できる専用パーツは車両との調和を追及してデザインしています。

 
ショーモデル/KATANA開発担当に聞く Q & A
 
企画・広報課:K氏
入社以来20年以上営業マンとして全国を飛び回った経験を買われ、昨年から企画課の配属に。 新たな挑戦に日々四苦八苦する50歳、ナイスガイ。
愛車:BMW F800R、スーパーカブ、XR100モタード(レース車輛)
趣味はツーリング、ミニバイクレース、カブの修理、ランニング

開発部:F氏
外見は大人しいが、自分の設計思想に反することには納得いくまで戦う武闘派(?)。
「オートバイのパーツ設計が夢」を叶えた心優しき40代前半。
“道具”を心から愛するフェチ野郎。子育て奮闘中!
愛車:YAMAHA XSR700、APE100(レース車輛)
趣味:DIY(ウッドデッキまで作っちゃう)、motoGP観戦(ロッシ、マルケス好き)
   
●ショーモデル製作にあたりタッグを組んだ二人。お互いの印象は?
   

とにかく探求心が旺盛。諦めない、粘り強い、良いものを作ろうという意識が高いので安心して任せられる。
こちらの無茶振りにも最終的には「これだよこれ!」と納得するアウトプットをしてくれるので、意見を出し合い前向きな検討ができたと思います。

こだわりが強い、方向性がしっかりしているのでブレない。どんな細かい疑問にも明確な回答を持っているので開発者としてはありがたいです。考えのすり合わせはかなり密にして方針の違いが出ないように気を付けました。

   
●二人にとってショーモデルとは?
   

当社の商品やカスタムの提案を皆さんに知っていただくための「看板」です。趣味性の強いオートバイだからこそ見た目の追求は勿論、走行性能を高める機能パーツ、セッティングという目に見えない技術を組み合わせて総合パーツメーカーとしての提案を具現化しています。

開発という部署はなかなかユーザーと触れ合う機会が少ないのが現状です。それだけにショーモデルは間接的ではありますが数少ない接点の一つと考えています。ユーザーからの感想、要望から新しいパーツの構想が具体的になることも少なくありません。それだけに製作担当になることは栄誉ですが妥協は許されないゆえにプレッシャーもあります。

   
●KATANAを選んだ理由
   

例えばリッターSS系車両には華がありますが、基本のポテンシャルがすでに十分高く、サーキットのような思い切り運動性能を引き出せる場でなければカスタムパーツの効果を感じるのが難しいというジレンマがあります。
逆に、ストリートが主戦場となるKATANAはパーツ交換による変化を実感しやすく、より広いユーザー層に楽しさを提供できると考えました。またこの車両は注目度が高く、カスタムベースとしての需要が高いという点も見逃せません。そして何よりストリート系車両、特にネイキッドバイクのカスタムは我々の得意分野という自負もあります。

車両が持つ素材の良さです。KATANAはスタンダード時点でデザイン完成度が高く、そこに手をいれる難しさはありましたが、それでもまだ余地はあります。走りに関しては足周りやポジション関連を中心に新たなパーツを投入することでどんどん良くなりました。優れたパーツを装着しても、車両の基本性能が良くなければその見返りを得ることは難しい。その点でKATANAは優秀な素材でした。

   
●ショーモデルKATANAの自分だけのコンセプトは?
   

「他社のショーモデルには絶対負けない」です。自分がオーナーだったら何が欲しいか?どう格好良くしたいか?ということを考え続けた結果です。

「当社の取扱うパーツを使って極限までパフォーマンスを上げる。運動性能ではどこにも負けない」です。

   
●製作にあたり影響をうけたものは?
   

常にいろんなものに影響されています。1100Sカタナはもちろん、ウィングスライダーは車のエアロパーツやDUCATI PANIGALE V4Rなども参考にしました。

中学生のころからmotoGPや二輪専門誌、他社の製品、業界の技術者、著名人などに感銘を受けているのでその複合的な影響が今のものづくりにも反映されています。

   
●企画と開発、それぞれの立場で苦労した点は?
   

自分のカスタムプランを実現するために、会社との交渉は苦労しました。それでも車両が発売されたばかりでカスタムの前例が存在しないこともあり、ほぼ自分が描いた通りに仕上げることができました。
F君は私からの要望を形にしなければならないので大変だったと思います。特にテールカウルは漠然としたイメージを伝えただけでしたから、あそこまでの形を仕上げてくれたことに感謝しています。

ショーモデルを仕上げるには、短期間で多数のパーツの図面をひく必要があるので3Dプリンタを活用してとにかく開発スピードを上げました。出力した樹脂ですぐにフィッティングができるのでかなりのスピードアップになります。
テールカウルは苦労しました(苦笑)。クレイで造形案を練ったり、他の社員に意見をもらいながら試行錯誤しました。それだけにモーターサイクルショー(2020年は中止)でユーザーから生の声を聞けなかったのが本当に残念です。

   
●パーツ開発とはどのように行うのか?
   

KATANA専用品のロングテールカウル、フロントウィンカー、ポジションパーツ(ハンドル、ステップ)には特に時間をかけ、開発部で操作性・ビジュアル・明確なコンセプト・ターゲットプライスを満たせるように試作と検討を重ねました。ブレーキパーツ、ホイール、サスペンションは専門部署(ホイール事業部、サスペンション事業部)で各開発者の理念に則った強度、部材、設計を元に、何年にも渡る長期テストを行って今に至ります。

部品ごとに違いますが例えばステップだと、「何キロ試走する」という決まりはありません。基準は本当にいろいろありますが、主に操作性、耐久性、剛性感、メンテナンス性などを装着、走行、分解を繰り返して確認しています。一つの試作ができるごとに各要素(アルマイト、ペダルのラバー、ボールベアリングなど)をテストしてデータを残し、その繰り返しからベストを見つけていきます。

   
●自慢したい点、ぜひ見て欲しいポイントは?
   

スクリーンや低いハンドルなど古き良きGSX-Sシリーズのテイストも取り入れつつも、このKATANA自身の良いところを上手く引き出せたのではないかと思っています。SUZUKI主催の第2回KATANAミーティング(2020年9/6)には参加予定ですので穴が開くほどジロジロ見てください!twitter等での反応も楽しみにしています(意外とチェックしてます)!

実車を目にする機会があれば、ぜひステップ、ブレーキキャリパー、マスターシリンダーといった切削パーツの品質を見ていただき、写真では伝えきれない細部までこだわった削りの美しさを楽しんでください。皆さんからの「かっこいい!」が開発意欲の源です。もっとバイクを楽しみましょう~!